研究内容RESEARCHES

広島大学大学院先進理工系科学研究科 スマートイノベーションプログラム
スマートロボティクス研究室 教授
石井 抱 Idaku ISHII
>> 研究テーマ
1秒間に1000コマ以上の実時間画像処理を実現する高速ビジョン技術を始めとして、人間の感覚能力を遥かに上回る実時間センシング技術の確立を目指した情報システム/デバイスの研究開発を行うとともに、高速化・集積化を念頭においたアルゴリズムの研究、さらには人間には感じとることが難しい振動ダイナミクス等の情報を積極的利用した新たなセンシング技術の実現を目指します。

高次局所自己相関特徴を用いた高速画像認識


高次局所自己相関特徴(HLAC)は、画像認識のためのシフト不変特徴量であり、近傍演算と画像総和演算といった単純な処理により計算可能な特徴量である。本研究では、HLAC特徴計算機能を高速ビジョンプラットフォーム上にハードウェア実装することにより、1024×1024画素画像に対して1000fpsのパターン認識を可能とする高速画像認識システムを実現した。

構築した高速画像認識システムでは、3×3画素近傍領域に対して、2次までのHLAC特徴を計算し、全部で25個のHLAC特徴を用いて、画像認識を実現する。画素レベルでの計算オーダーが必要とされるHLAC特徴計算についてはハードウェア回路化し、それ以外の後段の認識処理はソフトウェアで実現する。なお,HLAC特徴計算を高速ビジョンH3 Visionシステム上のFPGA上にハードウェア回路する際には、25個のHLAC特徴量計算を並列化すると同時に、1次の局所自己相関の乗算結果を2次の局所自己相関の計算に再利用するなど、計算リソースの効率化と処理の高速化の両立を図った。

システムの有効性を確認するため、DMDプロジェクターで投影した画像を提案システムによって1000fps実時間判別実験を行った。投影画像として、500fpsの数字画像(2値)、250fpsの顔画像(8レベル)について、それぞれ実験を行った。判別処理には10種類の画像に対する学習データを用意し、最近傍法を用いて画像の分類を行った。 その結果、いずれの場合についても高速な画像認識が正しく実現できることを確認した。
投影された数字の判別 投影された数字の判別
MPG動画(9.1M) 再生
投影された顔画像の判別(250 fps) 投影された顔画像の判別(250 fps)
MPG動画(3.0M) 再生